ご存じの通り、数学的な資質・能力(知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性)はそれぞれ学習指導要領の目標に(1)(2)(3)に分けて記載されています。学習指導要領の解説を読み自分なりの理解のまとめを記載しますので参考になればと思います。
知識・技能
知識・技能は目標の(1)で、前半の「基礎的な概念や原理・法則の理解」と、後半の「数学的な解釈、表現・処理」のに分けて説明されています。
前半:基礎的な概念や原理・法則の理解
これは、表面的な原理・法則の理解ではなく、根底となる概念も併せて理解し、発展的に考えるための礎となる深い理解にまで言及した項目となっています。平成28年の学力調査において \( 2x=x+3 \)の方程式に\( x=3 \)を代入すると両辺とも6になる事を問題文で提示して、解は①6、②3、③3と6、④3でも6でもない、と選択制の出題をした時、①であると答えた生徒が3割程度いたとの統計が出ています。\( 2x=x+3 \)を解けという出題なら解ける問題も解の概念を理解が曖昧だと、このような間違いしまうという事がわかるかと思います。そのため、概念の理解の定着も併せた深い理解が重要であるというのが本項の意図になってきます。
後半:数学的な解釈、表現・処理
数学的活動において日常の事象と数学の事象に分けて説明されています。
日常事象では、数学の問題として捉える時、適切な数学的表現ができるか、この問題を数学的にどう処理すれば答えが得られるか、また、得られた数学の結果は日常の事象で捉え直すとどのような意味を持つか、がこの項目に込められた習得したい資質・能力になります。また、数学の事象についても、数学的な用語や記号を適切に使って表現し問題に落とし込めるか、数学の事象を一般化したり拡張子したらどう捉えられるか、等に答えられるかといった資質・能力が問われています。
具体例としては、問題の場面を一次方程式にできる事を知っている及び実際にできる、方程式を実際に解くことできる、方程式の解を現実の世界の答えに解釈することできる、等を指している項目となっています。
思考力・判断力・表現力等
思考力・判断力・表現力等は目標(2)で、「数学を活用して事象を論理的に考察する力」、「数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力」,「数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力」の三つに分けて解説があります。
数学を活用して事象を論理的に考察する力
解決に対して見通しをもって仮定を設定できたり、根拠を筋道立てて考察できる力が本項目の言う力です。また、直観的、帰納的、類推的に推論する力や演繹的に推論する力も含まれています。
数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力
得られた結果を振り返る事が重要とされています。他に言える事はないか、本質的な条件は何か、考察範囲を広げたら見えるものはないか、類似の事柄と共通する項目はないか、等を考察しできる力、また、更には一般化したり拡張したりできる力が本項目の言う力になります。
数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力
言葉、式、図、表、グラフ、樹形図、等の様々な表現が数学の世界には存在します。ここでいう、簡潔・明瞭・適格に表現するための力というのは、目的に応じて的確な表現の仕方を選択できたり、表現した図やグラフ等を関連付けて説明できたりする力を言っています。
学びに向かう力・人間性等
学びに向かう力・人間性等は目標の(3)で、学習指導要領解説では「数学的活動の楽しさ」、「数学の良さ」、「数学を生活や学習に生かそうとする態度」、「問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度」で構成されています。ここでは、前者の二つに注目して記述していこうと思います。ちなみに、TIMSS2015,2019の調査で日本が弱いとされている部分です。
数学的活動の楽しさ
この項目は、一言でいうと、数学的活動の中で様々な観察、操作、実験をしたり思考を巡らせる中で、驚きや感動を味わい、数学を学ぶ事の面白さ、考える事の楽しさを味わえるようにする事とを指しています。
数学の良さ
数学的に考える事のよさ、数学的な表現や処理のよさ、について述べている項目です。例えば、方程式を立式すれば知りたい事がわかる⇒数学は便利だ、といった経験や、三角形の合同条件と三角形の相似条件は言っている事は違うけれど、表現の仕方が良く似ている⇒不思議だ、のような体験のことを指す考えています。
細かく見ていくと意外と考える事が多いですね。具体的な事例が結びつくと理解しやすいと思いますので、どこかのタイミングでまとめてみます!
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